『ローバート・ツルッパゲとの対話』は先生の”余談集”みたいだった|感想

ローバートツルッパゲとの対話
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今日紹介する本はワタナベ アニ著『ロバート・ツルッパゲとの対話』。

タイトルだけでは内容が想像しにくいけど、本書では著者であるワタナベアニさんの”人生哲学”について語られています。

この本を読んだ僕の印象は、学校の先生がする授業中の余談を寄せ集めた感じ。

誤解がないように言っておくと、内容が余談レベルというわけではないです。

忘れられない先生の余談って、個人的な経験の話が多くてタメになったり面白かったりすることがあるじゃないですか?

本書もアニさんの個人的な体験を引き合いにだしながら「人生をどう生きるべきか」について、真面目過ぎず軽過ぎずユーモアチックに記されているんですよ。

だから話はシンプルに面白いし、言葉や考え方は印象深く残ります。特に”周りに流されやすい人”には刺さる言葉がたくさんあると思いますよ。

※この記事では本書のオススメの理由を3つに絞ってお伝えしていきます。

目次

ワタナベ アニとは

1964年横浜生まれ。写真家・アートディレクター。広告プロダクション、株式会社ライトパブリシティ勤務を経て、独立。「45R」などのクリエイティブディレクションを手掛ける。日本テレビ『anone』ドラマポスターで日本写真家協会・優秀賞を受賞。雑誌・広告・ファッションカタログ、国内外での写真展を中心に活動。

引用元:amazon

本の内容紹介

本書は著者であるワタナベ アニさんの人生観がたっぷり詰まった哲学書。

ジャンルは哲学になると思うけど、内容はガチガチというわけではないです。

身近な話題を取り上げながら「どうすれば”自分”の人生を生きられるか」について筆者の考察が展開されています。

”日本と外国を行き来して得た視点”と”積み重ねた人生経験”によって構築された著者の”哲学”に則って日本の常識・慣習を考えれば、日本特有の価値観がどれだけ僕たちの行動・生活に影響しているかがわかります。

しばしば厳しめの意見も含まれていますが、”世の中の常識に左右されず、自分なりの人生を生きる”ためのヒントが散りばめられていました。

オススメしたい3つの理由

ここからが本題。『ローバート・ツルッパゲとの対話』をオススメしたい理由はこれです。

  • ”サブい”人間にならないために
  • 絶品でした、”アニ味”
  • 当たり障りのある本

では一つずつ詳しく書いていきます。

”サブい”人間にならないために

”サブイ”人間になりたくない人は、本書を読んでおくことをオススメします。

ここでいう”サブい”とは、かっこよくない、ダサい、イケてないってぐらいに考えておいてください。

本書の話題は多岐にわたり、その一部で行動や振る舞い、考え方が残念な人間の例がたくさん挙げられています。

周りに流される人、周りが見えない人、他人の価値観に依存しているような人。

どれもがスマートじゃないんですよ。

で、どれもが他人事じゃないんですよ。無意識のうちに自分も似たことやっているなと思うところもあって。

たとえばイタリアのことなんて何も知らないのに「イタリア人はナンパ男だ」と勝手なイメージを持っていたりするじゃないですか?

別にこのイメージを持っていることで誰かに迷惑をかけることはないです。でもこういう根拠なしで持っているイメージって誰にでもあると思います。

でも自分の体験や知識なしでつくられたイメージって、知らない誰かの価値観で物事を考えていることと同じなんですよね。そしてそれは偏見や差別に繋がることもあります。

だからそうならないためにも何事も自分の頭で検証して、吟味して、解釈する必要があります。

本書を通してアニさんの”生きる姿勢”に触れると、その重要性が実感できます。

こんな感じで本書では”自分の価値観”が不在の人間が犯す失敗例が多く出てくるので、それを見れば自分がどういう風に生きていけばスマートな人間になれるか反面教師的に浮き彫りになるはずです。

これは本書で紹介された考え方で言えば、「外側から輪郭を描けば、自ずと『それ以外』という意味での輪郭が浮かび上がる」というわけです。たぶんこれだけでは何を言ってるかわからないと思いますが、読めば理解できます。

”サブい”人間ではなく、”自分の人生”をカッコよく生きる人間になりたいのなら、本書を手に取ってみるといいと思います。

絶品でした、”アニ味”

本書で展開される、自身の経験に裏打ちされた人生哲学には、確固たる”個性”を感じました。

それは本書の随所に宿っています。

物事の解釈と言葉のセレクト。

このどちらにも、世の中の当たり前に左右されない”アニさんの世界観”が表れています。

だから本書の内容も素晴らしいですが、文章の端々から伝わる人間味、つまり”アニ味”が絶品なのでそういうところに注目しても楽しめるはずです。

そして「”個性”って大切だよね」という風潮のある現代では、本書を通じてアニさんから見習うべきところが多くあると思います。

既存の価値観には影響を受けず世界をフラットに見つめるアニさんの生きる姿勢。

この姿勢を感じることこそが本書の醍醐味だと僕は思っています。

当たり障りのある本

自分の人生を見直すためにはかなりいい本だと思うし、多くの日本人にオススメしたいけど、本書は好き嫌いがハッキリ分かれる一冊だと思います。

なんといってもアニさんの言葉は無難じゃなくて容赦がないんですよ。

だいたいの本って当たり障りのない表現が多いけど、この本は当たり障りある表現が結構あります。(一応言っておくと人を貶めるような表現はないです)

図星を突かれたときの僕は、胸がソワソワしてクッソ恥ずかしい気持ちになったりしました。

でも言葉が鋭い分、グサッと刺さるフレーズ・考え方は印象的で脳みそに利きます。

その衝撃はパナイです。

でも逆に率直な意見が多いからこそ反感を買いそうな言葉もありました。

僕自身も「いやいや、それはちょっと違うんじゃないんですか~」って言いたくなるところもあります。だけどそういうところにこそ自分の見えていなかった世界の側面があらわになることが多いので、自分の世界を広げるチャンスでもあります。

相手が目の前にいないから心の中で思うだけだけど、読んでいる最中は反論したり、共感したり、感心したりと一人で盛りあがりながら楽しめました。

こんなにエキサイティングできる本は、僕史上で初です。

クセはあるためパンチ力も強めですが、脳みそにガツンと一発いれたい人にもオススメです。

最後に

この本を読んだら、元の自分に戻れないことを覚悟してください。

他人の”確固たる世界観”に触れると、その説得力の強さにあてられて自分の考えにも大きく作用します。

人によって響く部分はマチマチだと思いますが、生活を送る中でアニさんの言葉を思い出してしまうはずです。

今の自分を変えたいと望む方は一読の価値アリですよ。

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