”時間は限られていること”を知れば可能性は広がる「限りある時間の使い方」の感想・要約

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「時間が足りなくて、やりたいことがやれない」

そんな悩みを何かと忙しい現代人なら誰もが抱えているはずだ。

そして現状の忙しさを解決するため、あらゆる時短テクや時間管理術を身につけようとする。しかしそう簡単にはうまく行かず、結局は毎日が忙しい。


そんな人には今日紹介する「限りある時間の使い方」をオススメしたい。

本書は「時間は有限であり、人生でやれることは限られている」という事実を教えてくれる。

もしかしたらこの事実にガッカリする人がいるかもしれない。

でも大丈夫。

本書は”時間は限られている”という事実を受け止めた先にこそ、可能性が広がっていることを教えてくれる。

もし今、満たされない生活を送っているのなら、「限りある時間の使い方」はあなたにとって人生を変えてくれる本になるかもしれない。

本書をオススメしたい人

ライフハックや時間管理術の知識を実践してもうまくいかない人

・休日をゆっくり過ごすことに罪悪感がある人

・将来のために行動しまくっている人

・本当にやりたいことができていない人

目次

「限りある時間の使い方」の内容紹介

タイトルで勘違いする人がいるかもしれないけど、「限りある時間の使い方」は時間管理術やライフハックを紹介している本では決してない。

本書は”限りある時間”との上手な向き合い方を教えてくれる内容になっている。


かつての著者は「生産性オタク」であったと本書では語られている。

ライフハックを駆使し、生産性を上げて、何にも縛られない自由な時間を求めていたという。ところがある日、どんなに頑張っても完璧な平穏なんて得られないという事実に気づく。

そんな筆者が教えてくれるのは、”どうしたら短い人生を存分に生きられるか”ということだ。

”時間は限られている”という事実と向き合うことで得られる幸せの可能性をみせてくれる。

仕事もプライベートも充実させたい人にとっては、ヒントに溢れた内容になっているはずだ。

著者紹介

オリバー・バークマン(Oliver Burkeman)
◎─―イギリスの全国紙ガーディアンの記者として、外国人記者クラブ(FPA)の若手ジャーナリスト賞などを受賞した気鋭のライター。著書『解毒剤 ポジティブ思考を妄信するあなたの「脳」へ』が世界各国で話題を呼んだ。ガーディアン紙で心理学に関する人気コラムを毎週執筆中。ニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルといったアメリカの有名紙、雑誌サイコロジーズやニュー・フィロソファーにも記事を寄せている。ニューヨーク在住。

引用:Amazon

「限りある時間の使い方」を読んで気づける”事実”を5つ紹介

「限りある時間の使い方」を読んで、さまざまな”事実”に気づかず生きていることを思い知った。

その中でも特に印象的だったことを5つ紹介していきたい。

何事にも限界がある

一日は24時間しかなくて、その中でできることは限られている。それに体力や才能、その他のさまざまなことにも限界はある。

そんなことは「当然だ」と思うかもしれない。

でもこの事実に気づかず、自分に無理難題を課している場合がある。

たとえば本書には次のような文章がある。

やることが多すぎてパンクしそうなとき、僕たちはやることを減らすのではなく、「時間の使い方を改善しよう」と考える。

引用元:「限りある時間の使い方」P33

思い当たるところはないだろうか?

明らかに許容量を超えているタスクを目の前にしたとき、時間が足りないと考えるよりも先に解決策を考えてしまうことが多いはずだ。決してそれが悪いというわけでもない。前向きな姿勢は大切だ。

ただしここで言いたいのは、一日にやれることには限界があるということを知っておく必要があるということだ。その考えがなければ、無駄にイライラしたり、自分の能力に落ち込んだりすることになる。

本書に次のような文章がある。

「自分には、限界がある。その事実を受け入れれば、人生はもっと生産的で、楽しいものになるはずだ。」

何事にも限界があるということを自覚することは、諦めではないのかもしれない。限りある時間と向き合う最初の一歩になるのだ。

効率化を突きつめても完璧な時間はやってこない

何かやりたいことがあるとき、忙しさのせいで後回しにしてしまうことがある。

そしてその時には「すべて片付たらやろう」と思っているはずだ。

ここで一つ考えて欲しい。

これまで何事も片付いた完璧な時間がやってきたことがあるだろうか。たぶん一度だってないはずだ。規模は大小さまざまだと思うが、何かしらやるべきことはあって忙しく過ごしている。

そしてそんなとき頼るのは、時間管理術やライフハックなどの技術だ。

効率化を図って、タスクの処理スピードを上げることを考える。しかしその多くは失敗に終わる。いくらタスクをこなしても、次から次へと新しいタスクがやってくるからだ。

だから効率を上げても、忙しさはずっと続く。結局、すべてが片付いた完璧な時間なんて幻想に過ぎないのだ。

本書ではこのような忙しい状況の中どういう心持ちで生きればいいのかについてヒントをくれる。

必要なのは効率を上げることではなく、その逆だった。すべてを効率的にこなそうとするのではなく、すべてをこなそうという誘惑に打ち勝つことが必要だったのだ。反射的にタスクをこなす代わりに、全てをやりきれないという不安を抱えること。やりたい誘惑を振りきり、あえて「やらない」と決めること。(中略)それでも、その不快感に耐えながら、本当に重要なことに集中するのだ。

引用元:「限りある時間の使い方」P63

これを実践するのは難しい。やり残しをそのままにしておける”図太さ”が必要になるからだ。

しかしタスクは一生消えないということがわかっただけでも救いなったはずだ。

”完璧な平穏”という幻想を夢見て、「やりたいことがやれない」と腹を立てることはもうなくなった。

難しいことではあるが、あとは「すべてをこなそう」という誘惑に打ち勝つだけだ。

不快感は消えない

 本書では難しいタスクに立ち向かうためのアイディアも紹介されていた。

たとえば難しいタスクに立ち向かうとき、その退屈さから逃げるためにSNSやゲームなどに逃げ込んでしまうことがあると思う。そして締め切り間近になって、やっと重い腰をあげ、しぶしぶ作業に戻る。

誰でもそんな経験をしたことがあるはずだ。

本書ではそんな時のメンタル的対処法が紹介されていた

難しいタスクを落ち着いてやり遂げるには、完全に没頭できる状態を夢見るよりも、嫌な気持ちをそのまま認めたほうがいい。苦痛や退屈を否定せず、今起こっていることをそのまま見つめたほうがいい。

引用元:「限りある時間の使い方」P132

根性論に感じるかもしれないが、この心構えを身につけることは効果的だと思う。

難しいタスクを目の前にしてスマホに手が伸びるとき、「自分の無力さを思い知る」という現実から目を逸らしているという一面がある。

自分の無力さを知るのは、苦痛で不快な経験になるのだから仕方がない。

ただ問題なのは逃げ続けたとしても、その不快感を先送りにしているだけということだ。時間が経っても、自分が成長して、その難題をカンタンに解いてくれるわけではない。だから結局、作業の退屈さは変わらない。

もし退屈を感じながら作業するしかないと心の準備ができていれば、「仕方がない」と割り切った気持ちが重い腰をあげる手助けになるのではないかと思う。

まずは自分の不快感から逃げずに受け止める。難しいタスクに立ち向かうには、このステップが必要なのだ。

”計画”は確定していない

計画が思い通りにいかず、イライラしたことは誰しも経験があると思う。

一日のスケジュールにしろ、長い人生設計にしろ、規模を問わず思い当たることがあるはずだ。

そのイライラの原因を本書では次のように説明している。

将来のことを考えたり、計画を立てたりするとき、僕たち「時間を所有したり使ったりできる」という前提に立っている。そしてその前提のせいで、いつもイライラしたり、不安になったりしている。時間は自分のものでもないし、自由に使うことができないという現実が、つねに僕たちの期待を打ち砕くからだ。

引用元:「限りある時間の使い方」P141、142

たしかに計画を立てるとき、未来の時間は想像上で自由に使える。

そのときに「現実で何が起こるかわからない」という視点を持つのは難しいのかもしれない。

だから計画は決まりきったことと捉えてしまい、思い通りにいかないとイライラしたりするわけだ。

そこでもし「計画は未来を決定しているわけではない」という視点を持っていれば、少し気持ちは変わってくるはずだ。

それは未来に過度な期待をしなくて済み、何が起きても仕方がないと受け入れられる心構えになるからだ。

休日に訪れる罪悪感の正体について

現代に生きる僕たちは、休みを「有意義に使う」とか「無駄にする」という奇妙な考え方にすっかり染まっている。将来に向けて何らかの価値を生みださないものは、すべて単なる怠惰でしかない。休息が許されるのは、働く元気を取り戻すためだけだ。こうして純粋な休息としての休息はどんどん肩身が狭くなっていく。将来のためにならない過ごし方をすると、なんだか悪いことをしたような気分になる。

引用元:「限りある時間の使い方」P172

この文章を読んだとき、休日をゆっくり過ごすことで抱く罪悪感の正体に気づいた。

僕は無意識的に「将来のためにならないことは意味がない」と考えていたのだ。

おそらく僕以外にも多くの人がこのワナに陥っているのではないかと思う。

当たり前のことだが、将来のために勉強したり活動したりすることは決して悪いことではない。むしろ良いことだし、必要なことだ。ただし未来志向も行き過ぎると、さまざまな体験や出来事を純粋に楽しむことができなくなるというデメリットがあるようだ。

そして極論をいえば、未来ばかり考えて今を楽しめないでいると、死ぬまでの一生を満たされないまま過ごすことになる。


この事実は、未来志向の人間にとって盲点にだったはずだ。でも逆にいえば、人生を充実させるためのヒントにもなる。

死ぬとき後悔しない人生を送るためには、休日を将来のために使うのと同じくらい”余暇”として楽しむことが必要なのだ。

最後に(感想)

最初は話題の本ということで手に取っただけだったが、「限りある時間の使い方」は内容がメッチャ濃い本だった。

本書を読んで何より良かったのは、「頑張ればすべてを完璧にこなせる」という間違った考えを正せたことだ。

「うまくいかないのは自分の努力不足だ」と常々思っていたが、自分の持つ時間や才能、体力には限界があると気づかされた。

そのおかげで、自分に対してのハードルは下がり、肩の荷が降りて清々しい気分になった。


本書では”時間が有限である”という厳しい事実について書かれている。しかしそれが希望に変わるメッセージも散りばめられている。

資本主義に染まって、すべての物事を”生産性”や”効率”で考えている現代人全員に読んでみて欲しい本だった。

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