今日紹介するのは、末永 幸歩著『13歳からのアート思考』!
周りの意見や常識に流されて「自分なりの考え」を持てないという悩みに効く本です。
身近な話でいえば独自の視点を持った感想文やレポートを書ける助けになり、大きな話で言えば進路選択などの人生にかかわる決断を迫られたときにも役に立つ考え方を学ぶことができます。
自分の意見を持つことが苦手な人や、周りの影響を受けやすい人にぜひオススメです!
・自分の意見を持てない人
・オリジナリティのあるアイディアを出せるようになりたい人
・美術館に行っても作品よりも解説文を読んでしまう人
アート思考で独自の視点を持つ
”アート思考”というワードですが、
「そもそもアート思考ってナニ?」という人も多いはず。
その答えに対して本書では次のように紹介されています。
アート思考とは「自分の内側にある興味をもとに自分のものの見方で世界をとらえて、自分なりの探求を続けること」だといえるでしょう。
引用元:13歳からのアート思考 P39
これだけだとイメージしづらいかもしれません。
つまりアート思考は「自分の持つ興味・関心・疑問を深堀して、自分なりの結論を導く」というプロセスのこと。
このアート思考を身に着けることで「周りの意見や常識にとらわれず、自分を起点として物事を考える」ということができるようになるのです。
世界にインパクトを与えるアーティストは、自分を起点にして考えるからこそオリジナリティが溢れるアート作品を生み出すことができるともいえるかもしれません。
そしてアーティストに限らず、僕たちの生活にもアート思考を取り入れることができれば、独自の視点をもつことにつながり、自分だけの答えを見つけることができるのです。
アート思考で激動の時代を生きる
本書によると、現代では「正解を見つける力」だけでなく「答えをつくる力」も重要だとあります。
なぜなら今の社会では「これさえやっておけば大丈夫!」といえるような”正解”の存在は期待できないからです。
テクノロジーの進歩は加速し、世の中には多様な価値観が溢れ、社会の移り変わりが激しい今日この頃。恩恵もある一方で、社会の複雑さも増しています。
働き方ひとつとっても”正解”なんてない時代になりました。
昔は「いい大学を卒業して、大企業に入れば幸せ」みたいな風潮がありました。でも今ではフリーランスでバリバリ働く人もいますし、本業と副業を両立して稼いでいる人もいます。
僕も就職活動のときは何も考えずに周りの「とりあえず大企業へ!」的なノリに合わせて動いていました。自分の人生にもかかわらず、自分の気持ちに向き合わないまま周りの雰囲気に合わせたことに今でも後悔はあります。
だから本書を読んだときは、もし”自分”を突き詰めて考えていれば、また違った人生だったのかもしれないと惜しい気持ちにもなりました。(それがプラスになるかマイナスになるかわかりませんが。)
働き方に限らず、多様な価値観で溢れた現代で後悔なく生きるには”自分”という言葉がキーワードになると思います。だから自分を起点に考えるアート思考を鍛える必要があるのです。
”アート思考”の第一歩はアート鑑賞から
ここまではアート思考の大切さについて書いてきましたが、
一番気になるところはアート思考がどうやったら身につくのかということだと思います。
本書ではこう書かれていました。
自分の感覚器官を駆使して作品と向き合うことは、「自分なりの答え」を取り戻す第一歩です。
引用元:13歳からのアート思考 P66
この自分の感覚器官を使ってアート作品と向き合う方法として紹介されているのが「アウトプット鑑賞」です。
方法はシンプルで、作品を鑑賞して気がついたことや感じたことを書き出したり声に出したりするだけ。
感想や意見に対して「どこからそう思うか?」、「そこからどう思うか?」と自問自答を繰り返せば、思考を深めるトレーニングにもなります。
また本書では 本編の全6章のそれぞれでアート作品がピックアップされいるので、この「アウトプット鑑賞」 を体験しながら読み進めることができます。
なので流し読みは厳禁です。めんどくさそうに感じるかもしれませんが、やってみると案外面白いです。
最初は難しかったですが、慣れてくるとスムーズにアウトプットできるようになり”思考が深まっている”手応えがありました。
「アウトプット鑑賞」はマンガでも小説でもドラマでも身近なモノで実践できます。
生活に取り入れれば、”自分だけの答えをつくる”第一歩になると思うので、ぜひ試してみてください。
(”アウトプット鑑賞”にハマると、鑑賞欲が高まって美術館に行きたくなります。)
最後に
『13歳からのアート思考』は内容も優れた本でしたが、 読んで一番よかったのは考える習慣が身についたところです。
日常で感じたことがあれば「なぜ?」、「どこからそう思う?」と深堀するクセがつきました。テレビ番組やYouTubeを見ていても、このクセのおかげで一つ一つに対して自分なりの感想を持てるようになりました。
そういう意味では、僕の人生に影響を与えた一冊になります。
ぜび多くの人に読んでみてほしいです。